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ピアノは平均率音階で調律します。
それは、いかなる調性でも違和感無くキレイに聴こえるようにするためです。

例えば、ハ長調でド.ミ.ソの和音(C.E.G)を弾きます。
次にニ長調で主要三和音をレ.ファ#.ラ(D.F#.A)と弾きます。
同じようにキレイに聴こえなければなりません。

調性は長調・短調合わせて24調ありますから、平均率調律はどの調でもキレイに聴こえるようにするための、言わば「最善の策」あるいは「苦肉の策」です。
J.S.バッハが「平均率クラヴィーア曲集」を作曲したとき、バッハ先生の当時のチェンバロが平均率で調律されていたかどうかは疑問とのことですが、もしもハ調とかの純正調で調律されていたとしたら、ほかの調ではさぞや汚い和音だったことでしょう。

私はチェロを弾きますが、調弦にとても苦労します。
弦楽合奏のときは純正調で調弦し、ピアノや木管楽器との合わせは平均率で調弦します。
チェロの場合、1弦がラ(A)で、2.3.4弦はレ(D).ソ(G).ド(C)の完全5度間隔ですから、まず1弦(A)をとり、そこから5度づつを純正調でピッタリととっていくと、最低音4弦(C)はピアノとは大幅にズレてしまいます。
そこで、ピアノからA(1弦)とC(4弦)をもらい、その間で2弦(D)と3弦(G)を平均的に割り振ります。

ピアノの調律も同じような割り振り手法です。
ファ(F)〜ファ(F)のオクターヴを12等分して音階を作ります。


《440Hzでのピアノ平均率調律法》

我々調律師は音感でするのでなく、”うなり”の数を聴いて調律しますから、うなりのテンポを認識しやすいように1オクターヴ下で割り振り調律をします。

まず音叉やチューナーを使用し、49鍵目のA音を440Hzで取り、1オクターヴ下の37Aを220Hzにピッチ取りします。
次にAから上の4度音程に広めの”うなり”をつけてDをとります。
次にDから下への5度で狭めの”うなり”をつけたGをとります。
この要領でG-C(4度)、C-F(5度)、F-A#(4度)、A#-D#(4度)、D#-G#(5度)、G#-C#(4度) C#-F#(5度)、F#-B(4度)、B-E(4度)で12音階が作れます。
最後にE-A(5度)間に狭めの”うなり(2回/3秒)”が出ていれば、割振り調律の出来上がりです。

それから上下のオクターヴに次から次へと広げていくのですが、平均率設定のチューナーの通りに合わせると狂って聴こえます。(オクターヴやオクターブ5度に激しいうなりが出ます。)
チューナーの指し示すポイントよりも高音はより高く、低音はより低く調律をしなければなりません。
理論上は振動数を倍にすればピッタリのオクターヴになるはずですが、なぜかピアノの調律でピッタリと合わせるとチューナーとはズレていきます。
最低音や最高音では20cent以上の格差がでます。
また、このように調律をしないと正しく聴こえません。
この”ゆがみの謎”は物理の専門家の領域ですね。。


ピアノの調律の精度で求める誤差は、プラスマイナス0.5centです。
1セント(cent)とは、半音を100centとしその1/100のことですから、半音の1/200(0.5cent)以内が誤差範囲ということになります。

計算上は1Hzが約4cent換算になりますので、440Hzと442Hzは8centの違いとなります。
一般の音感のよい方ではこの8centの違いを聴き分けます。
プロの音楽家の中には1Hz(4cent)以下を聴き分ける方がいます。
なので、我々調律師には0.5cent以下の精度が求められるという訳です。

どんなに音感が優れていても、音感だけではピアノの調律はできません。88鍵すべての”つじつま”を合わせるのは不可能です。
ピアノの調律が物理数学的な手法(うなりの割り振り)で行う理由です。


ピアノの最低音は27.5Hz(A)ですが、基音の27.5Hzは4弦コントラバスの最低音(E)よりも低いのです。
かなりそ〜っと鍵盤を叩くとその根音は聴こえますが、普通に「ガンガン」と弾くと、倍音しか聴こえません。
次は「倍音」の話です。

《倍音》
倍音は音色の構成要素で、基音の上に倍音がたくさん乗っています。
固い音色(例えばオーボエ)は倍音がたくさん出ていて、逆にそれが少ないと柔らかい音色(例えばフルート)になります。

ピアノの最低音近辺を強く弾くと基音よりも倍音が勝って聴こえます。
ドシラと下って弾くと、正しい音階に聴こえないのはそのせいです。
・・最低音(ラ)は27.5Hzなので、人が聴き取れる限度20Hzにかなり近づいた音です。

理論上は、基音の振動数の整数倍の音が倍音です。
下記は49鍵めのラ(A)音のイメージ図です。


ピアノの調律は、オクターヴや和音(重音)を鳴らして出る倍音の「うなり」を聴いて調律します。

ユニゾンやオクターヴはうなりを完全に消しますが、平均率音階の場合、長3度や完全5度のうなりを出して前記のような調律法で合わせます。

純正調調律を基準にすると平均率調律の完全5度や完全4度の「ズレ」は極めてわずがで、ほとんど違和感はありません。
しかし長3度や長6度の「ズレ」は大幅です。
アカペラ合唱・金管合奏・弦楽合奏では純正調ハーモニーが可能ですが、そこに木管やピアノやギター・マンドリンなどのフレット楽器が入ってくると不可能です。

平均率音階主流の現代では、たまにバロック音楽のエンディングなどで純正調の和音(和声)を聴くと、逆に違和感を覚えることがあります。。(職業病かも?)







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